ツァラトゥストラの夏
「ツァラトゥストラはこう語った。そしておのが洞窟をあとにした。暗い山々からのぼる朝の日のように、熱火と力にみちて」
ツァラトゥストラとは、ドイツの哲学者ニーチェの著作「ツァラトゥストラはこう語った」を意味する。
この本を読んだのは2年前の初夏、仕事でもプライベートでも完全に打ちのめされていた時。ツァラトゥストラが自分を救ってくれたと言っても過言ではない。
読み通した後、夕立後の夏の青空を一面に臨んだかのような、そんな高揚感を味わったことを今でも鮮明に覚えている。
良いことも悪いことも、そっくりそのまま繰り返すとする、永劫回帰の人生を力強く肯定する超人を説いたツァラトゥストラのストーリーラインは圧倒的だ。絶え間ない自己否定に陥っていたことすらも、ツァラトゥストラを読むうえでのスパイスに過ぎなかったのだと、そんな運命的な感覚を覚えさせられた。
夏の本格的な到来と共に、横浜から名古屋へ転居してから、あの不思議な高揚感は消えてしまったが。
あの感覚を再度経験するにはどうしたらよいのか。名古屋に来てからずっとそんなことを考えている。